伝えるも伝えないも、正解

不妊治療を職場に伝えるかどうかは、多くの方が悩むテーマです。「伝えたほうが通院しやすい」「でも評価に影響するかもしれない」「プライベートなことだから話したくない」 — 様々な気持ちが交錯するのは自然なことです。

結論として、伝えるも伝えないも、どちらも正しい選択です。あなたの状況に合った判断をするための材料を、この記事で整理します。

伝えることのメリット

  • 通院のための時間が取りやすくなる:排卵日に合わせた急な通院、採卵日の休み取得などがスムーズに
  • 精神的な負担が軽減する:嘘をつかなくてよくなる安心感
  • 制度を活用しやすくなる:不妊治療休暇や時短勤務などの制度が使いやすくなる
  • 周囲の理解が得られる可能性:急な早退や体調不良への理解が得やすくなる

伝えることのリスク

  • プライバシーの問題:伝えた情報がどこまで広がるか分からない
  • 心ない言葉のリスク:「子どもがいない方が仕事に集中できていいね」等
  • 評価への影響の懸念:通院による不在が人事評価に影響するかもしれないという不安
  • 過度な気遣い:妊娠を期待する目で見られるプレッシャー

判断の基準

以下の点を考えて判断してみてください。

伝えたほうがいい場合

  • 体外受精に進む予定で、頻繁な通院が必要になる
  • シフト制や固定時間勤務で、急な早退・遅刻が難しい
  • 上司やHR部門との信頼関係がある
  • 社内に不妊治療支援制度がある

伝えなくてもいい場合

  • フレックスタイムやリモートワークで調整が効く
  • 通院頻度が少ない段階(タイミング法など)
  • 職場の雰囲気として、プライベートな話がしにくい
  • 過去に打ち明けたことがある人が不利な扱いを受けた事例がある

伝える場合の伝え方

誰に伝えるか

  • 直属の上司:通院による不在の調整を直接相談する必要がある場合
  • HR部門:制度利用の申請が必要な場合。個人情報の取り扱いについて確認を
  • 信頼できる同僚:必須ではないが、気持ちの面で支えになることも

どこまで話すか

詳しく話す必要はありません。以下のような伝え方で十分です。

  • 「定期的な通院が必要な治療をしています」
  • 「月に2〜3回、午前中に通院する必要があります」
  • 「急に通院が必要になることがあるので、その際はご配慮いただけると助かります」

「不妊治療」という言葉を使わなくても構いません。

活用できる職場の制度

不妊治療休暇

一部の企業では不妊治療のための特別休暇を設けています。まだ少数ですが、2022年の保険適用拡大以降、導入する企業が増加傾向にあります。

時間単位の有給取得

半日や1日単位ではなく、時間単位で有給を取得できる制度がある企業もあります。30分〜1時間の遅刻・早退で対応できる場合に便利です。

フレックスタイム制度

コアタイムを外れた時間帯に通院できる場合、最も使いやすい制度です。

不妊治療連絡カード

厚生労働省が提供する「不妊治療連絡カード」は、医師が治療の必要性を記入し、職場に提出するものです。口頭では伝えにくい場合に活用できます。

伝えない場合の工夫

  • 「通院」とだけ伝え、詳細は話さない
  • 早朝・土曜診療のクリニックを選ぶ
  • リモートワークの日を通院に合わせる
  • 昼休みに通院できるクリニックを選ぶ(職場の近く)

パートナーの方へ

パートナー自身の職場への伝え方も同様に重要です。男性の育児休暇が広がっている一方、不妊治療への理解はまだ十分とは言えません。採卵日の付き添いや精液検査のための通院など、パートナーにも職場調整が必要な場面があります。

お互いの職場の状況を共有し、「どちらがどの通院に対応するか」を話し合っておくと安心です。

二人目不妊で通院中の方は、お子さんの預け先の確保も必要です。通院日のファミリーサポートや一時保育を事前に調べておくと、職場への影響を最小限にできます。

この記事のポイント

  • 伝えるも伝えないも正解。状況に合わせて判断を
  • 伝える場合、詳しく話す必要はない
  • 不妊治療休暇や時間単位有給など、使える制度がないか確認
  • 厚労省の「不妊治療連絡カード」を活用する方法も

仕事と治療の両立については両立の記事を、メンタル面のケアはセルフケアの記事もご参照ください。

出典

  • 厚生労働省「不妊治療と仕事の両立のために」
  • 厚生労働省「不妊治療連絡カード」