つらいと感じている自分を、まず認めてあげてください
不妊治療を続けるなかで「つらい」と感じるのは、あなたが真剣に向き合っている証拠です。身体的な負担、先の見えない不安、周囲の言葉へのストレス。どれも経験している方にしか分からない重さがあります。
治療中の方を対象にした調査では、約7割の方が「精神的な負担が大きい」と回答しています(NPO法人Fine「不妊治療と経済的負担に関するアンケート2023」)。つらいと感じるのはあなただけではありません。
この記事では、治療を続けている方が少しでも気持ちを楽にできるよう、具体的な考え方とセルフケアの方法をまとめました。
身体のつらさ — 我慢しなくていい
ホルモン剤の副作用による頭痛やだるさ、注射の痛み、採卵後の腹部の張り。治療に伴う身体の不調は想像以上に大きいものです。「治療のためだから仕方ない」と我慢を重ねる必要はありません。
つらい症状があるときは、遠慮なく主治医に伝えてください。薬の種類や投与量の調整、痛み止めの処方など、対処できることは意外と多くあります。自分の身体の声を医療者に届けることも、大切な治療の一部です。
心のつらさ — 感情に「正解」はない
治療がうまくいかなかったとき、友人の妊娠報告を聞いたとき、「おめでとう」と言えない自分を責めてしまうこともあるかもしれません。でも、そう感じるのは自然な反応です。
悲しみ、怒り、焦り、嫉妬。どんな感情も「あっていい」ものです。感情を無理に押さえ込むより、信頼できる相手やノートに吐き出すほうが、心の負担は軽くなります。
パートナーと気持ちを共有することが難しいと感じたら、不妊治療専門のカウンセラーに相談するという選択肢もあります。多くの不妊治療専門クリニックでは、心理カウンセリングを受けることができます。

セルフケアの具体的な方法
心と身体を少しでも楽にするために、日常に取り入れやすい方法をいくつか紹介します。
- 治療から離れる時間をつくる — 週に1日、治療のことを考えない日を意識的につくる。好きな映画を観る、散歩をするなど、没頭できることを一つ持っておく
- SNSとの距離を調整する — 妊娠・出産の投稿がつらいときは、ミュートやフォロー解除をためらわなくていい。自分を守る行動です
- 身体を温める — 入浴やストレッチは、ホルモン剤で強ばった身体をほぐす効果があります。10分の半身浴でも十分です
- 書く — 感情を言葉にして紙に書き出すだけで、不安が整理されることがあります。誰にも見せないノートで構いません
どれも「やらなければいけない」ものではありません。今の自分に合いそうなものだけ、試してみてください。
周囲の言葉がつらいとき
「リラックスすればできるよ」「まだ若いから大丈夫」。悪気のない言葉が一番こたえることがあります。相手は励ましのつもりでも、治療中の当事者にとっては的外れに感じることが少なくありません。
すべての言葉に丁寧に対応する必要はありません。聞き流す力も、自分を守る技術です。もし身近な人に理解してもらいたい場合は、「こういう言葉は助かる」「こういう言葉はつらい」と具体的に伝えてみるのも一つの方法です。
専門家の力を借りることも選択肢のひとつ
「このまま続けていいのか分からない」「気持ちが限界に近い」と感じたら、治療と並行して心のケアを受けることを検討してみてください。
不妊治療専門の心理カウンセラー、不妊ピアカウンセラー、NPO法人Fineの電話相談など、治療経験のある専門家に話を聞いてもらえる場所があります。「相談するほどのことではない」と思い込まなくて大丈夫です。
つらいと感じながらも治療に向き合っているあなたは、十分がんばっています。自分のペースで、自分に合った方法を見つけていけることを願っています。
