まず、伝えたいこと

この記事を読んでいるあなたは、今、とてもつらい時間の中にいるかもしれません。

あなたが経験した悲しみは、誰かと比べるものではありません。妊娠週数や治療の段階に関わらず、あなたが感じている喪失は本物です。「まだ初期だったから」「次がある」という言葉に傷つくこともあるかもしれませんが、あなたの悲しみに「大きすぎる」も「小さすぎる」もありません。

あなたのせいではありません

流産の原因の多くは、胎児側の染色体異常です。妊娠初期の流産の約70%は染色体異常によるものとされています(出典:日本産科婦人科学会)。

「あのとき無理をしたから」「ストレスが多かったから」「もっと安静にしていれば」 — そう自分を責めたくなる気持ちは理解できます。しかし、多くの場合、お母さんの行動は流産の原因ではありません。このことは繰り返しお伝えしたいと思います。

悲しみのプロセスに「正解」はない

悲しみの感じ方は人それぞれです。以下のような反応はすべて、正常なグリーフ(悲嘆)の過程です。

  • 涙が止まらない日がある
  • 逆に何も感じない、麻痺したような感覚がある
  • 怒りや苛立ちが湧いてくる
  • 「なぜ自分だけ」という思いが繰り返し浮かぶ
  • 日常生活に集中できない
  • 眠れない、または過剰に眠ってしまう

「いつまでに立ち直らなければ」という期限はありません。あなたのペースで、あなたの方法で、悲しみと向き合ってください。

身体の回復について

流産・死産の後は、心だけでなく身体の回復も必要です。

身体的なケア

  • 出血や腹痛が続く場合は、クリニックに連絡してください
  • 月経の再開は個人差がありますが、流産後1〜2か月程度で戻る方が多いとされています
  • 子宮内容除去術(手術)を受けた場合は、術後の指示に従ってください

次の妊娠について

次の妊娠に向けた治療を再開する時期は、身体の回復状況と心の準備の両方を考慮して、主治医と相談してください。一般的には、流産後1〜2回の月経を見送ってから再開することが多いですが、状況により異なります。

再開を急ぐ必要はありません。「気持ちの整理がつかない」と感じるなら、それは正当な理由です。治療の再開は、あなたの準備ができたときでいいのです。

パートナーとの悲しみの共有

パートナーもまた、悲しみを感じています。ただし、悲しみの表し方は人によって異なり、表面上は平静に見えることもあります。

  • 「泣いていないから悲しくないわけではない」ことをお互いに理解する
  • 無理に話さなくても、一緒にいる時間を作る
  • 「あなたはどう感じている?」と聞いてみる

パートナーの方へ:「強くいなきゃ」と自分の感情を押し殺す必要はありません。あなたも当事者です。つらいときは一緒に泣いてもいいし、一緒にカウンセリングを受けるという選択肢もあります。

周囲の言葉に傷つくとき

「若いんだから大丈夫」「次があるよ」「前向きに」 — 悪意のない言葉が、かえって傷つくことがあります。お子さんがいる方は、「一人いるじゃない」「贅沢な悩みだよ」という言葉に傷つくこともあるかもしれません。上のお子さんに「きょうだいができるよ」と伝えていた場合は、その説明にも心を砕くことになります。

そうした言葉に対して、無理に笑顔で返す必要はありません。距離を置きたい人からは一時的に距離を取ること、それは自分を守る行動です。上のお子さんの前で気持ちを抑え続けることも大きな負担です。信頼できる人やカウンセラーに、その苦しさを話してみてください。

専門的なサポートを受ける

以下のようなサポートが利用できます。

  • 不妊カウンセラー:多くの不妊治療クリニックに在籍。治療の文脈を理解したうえで話を聞いてもらえる
  • 心療内科・精神科:不眠や食欲不振が2週間以上続く場合は、専門医への相談を検討
  • グリーフケアの自助グループ:同じ経験をした方と話すことで、孤立感が和らぐことがある
  • 天使のママの会などの団体:流産・死産を経験した方向けのピアサポート

助けを求めることは、強さの表れです。一人で抱え込む必要はありません。

この記事のポイント

  • あなたの悲しみは正当なもの。比べる必要はない
  • 流産の多くは胎児側の原因。自分を責めないで
  • 悲しみのプロセスに期限はない
  • 治療再開は、身体と心の両方の準備ができてから
  • 一人で抱え込まず、専門家やコミュニティの支えを活用

治療をお休みすることについては治療のお休みの記事で、メンタルヘルスについてはセルフケアの記事でも詳しく解説しています。

出典

  • 日本産科婦人科学会「流産について」
  • 日本生殖心理学会