一人目は自然妊娠だったのに — その戸惑いは自然なことです
「一人目はすぐにできたのに、二人目がなかなか…」。そう感じている方は、決して少なくありません。一人目を自然妊娠で授かった経験があると、「まさか自分が不妊治療を考えることになるとは」と驚く方もいらっしゃいます。
二人目不妊(続発性不妊)は、過去に妊娠・出産の経験があるにもかかわらず、その後1年以上妊娠しない状態を指します(日本産科婦人科学会の定義)。一人目を問題なく妊娠した方でも起こりうるものであり、戸惑いを感じるのは自然なことです。
なぜ一人目と二人目で状況が変わるのか
年齢による変化
一人目の妊娠から二人目を考えるまでに、数年が経過していることが一般的です。卵巣の状態には個人差が大きいものの、年齢とともに卵子の数や質に変化がみられるケースがあります。AMH検査で今の卵巣の状態を確認してみると、治療方針を考えるうえで参考になります。
出産後の身体的変化
出産を経て、ホルモンバランスや子宮の状態が変化する場合があります。また、授乳期間中は排卵が抑制されることがあり、断乳後も月経周期が安定するまで時間がかかる方もいます。帝王切開の既往がある場合は、子宮の瘢痕部分が着床に影響する可能性も指摘されています。
パートナーの状態の変化
男性側の精液所見も、年齢やストレス、生活習慣の変化によって変動することがあります。一人目の時と同じとは限らないため、二人目を考える際にもパートナーの検査を検討してみると安心です。
受診の目安
一人目が自然妊娠であっても、以下のような場合は婦人科やレディースクリニックへの相談を検討してみてください。
- 避妊をやめてから1年以上妊娠しない場合(35歳以上では6か月が目安とされています)
- 月経不順や無月経がある場合
- 出産後に月経が再開しない、または周期が不安定な場合
- PCOSや子宮内膜症の既往がある場合(年齢に関わらず相談を)
気になったタイミングが、受診のベストタイミングです。「まだ様子を見ようかな」と迷っている方も、まずは検査で今の状態を知ることから始めてみるという方法があります。
子連れ通院の現実と工夫
二人目不妊の治療で特有の課題が、上のお子さんがいる中での通院です。事前に準備しておくと、通院のハードルを下げられます。
- クリニックのキッズスペースを事前確認:子連れ通院が可能か、キッズスペースや待合の分離があるか、公式サイトや電話で確認しておくと安心です
- 一時保育・ファミリーサポートの事前登録:自治体の一時保育やファミリーサポートは登録が必要な場合が多いため、治療を始める前に手続きしておくとスムーズです
- パートナーや家族との分担:通院日のお迎えや送りの分担を事前に話し合っておきましょう
- 早朝・土曜診療の活用:お子さんの保育園・幼稚園の時間帯を避けた通院が可能なクリニックを選ぶ方法もあります
周囲の声との向き合い方
「一人いるんだからいいじゃない」「贅沢な悩みだよ」 — こうした言葉をかけられた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。悪意がないことは分かっていても、その言葉が胸に刺さることはあります。
はっきり伝えておきたいのは、二人目不妊は「贅沢な悩み」ではないということです。家族のかたちについての希望は、誰かに遠慮する必要のないものです。つらさを感じているのなら、それは正当な気持ちであり、サポートを受ける権利があります。
周囲に理解者がいない場合は、同じ経験をしている方が集まるコミュニティや、クリニックの不妊カウンセラーに話を聞いてもらう方法も選択肢のひとつです。
仕事・子育て・治療 — 三軸の両立
二人目不妊の治療では、仕事と治療の両立に加えて、上のお子さんの子育ても同時に進行します。この三軸のバランスは、一人目の治療とは異なる難しさがあります。
- スケジュールの見える化:通院予定、お子さんの行事、仕事の締め切りを一覧で管理し、パートナーと共有する
- 「完璧にやらなくていい」という前提:家事や育児の基準を一時的に下げることは、自分を守るための合理的な判断です
- 職場の制度確認:時間単位の有給取得やフレックスタイム制度など、活用できる制度がないか確認してみてください。詳しくは仕事との両立の記事もご参照ください
パートナーと一緒に考えるために
二人目の治療は、すでにお子さんがいる中での意思決定になるため、パートナーとの話し合いが一層重要になります。「いつまで治療を続けるか」「どこまでステップアップするか」「上の子への影響は」など、二人で共有しておきたいテーマは多くあります。
パートナーも、「何ができるか分からない」と感じているかもしれません。まずは一緒にクリニックの説明を聞くことから始めてみると、二人の認識を揃える助けになります。
この記事のポイント
二人目不妊は珍しいことではなく、一人目が自然妊娠であっても起こりうるものです。「一人いるから」と遠慮する必要はありません。気になったタイミングで、まずは今の状態を知ることから始めてみてください。
通いやすいクリニックを探してみるページで、子連れ通院の対応状況も含めて比較検討できます。
出典
- 日本産科婦人科学会「不妊症の定義」
- 厚生労働省「不妊治療に関する取組」
