桑実胚(そうじつはい)とは?

桑実胚とは、受精後4日目ごろの胚の発育段階を指す言葉です。受精卵が細胞分裂を繰り返し、16個前後の細胞がぎゅっと集まった状態になると、その見た目が桑の実に似ていることから「桑実胚」と呼ばれています。

体外受精や顕微授精の治療では、受精卵の発育段階を確認しながら移植や凍結のタイミングを判断します。桑実胚は、初期胚(4〜8細胞期)と胚盤胞のちょうど中間にあたる大切なステージです。

受精卵の発育段階と桑実胚の位置づけ

受精卵は、以下のような流れで発育していきます。

  • Day 0:採卵・受精
  • Day 1:前核確認(受精の確認)
  • Day 2〜3:初期分割期(4細胞〜8細胞)
  • Day 4:桑実胚(16細胞前後が密に集合)
  • Day 5〜6:胚盤胞(内部細胞塊と栄養外胚葉に分化)

桑実胚の段階では、それまでバラバラに見えていた細胞同士がくっつき始め、「コンパクション」と呼ばれる現象が起こります。これは胚盤胞へ進むための準備段階であり、胚の発育が順調に進んでいるサインの一つです。

受精卵の発育段階を示す図解。受精からDay4の桑実胚、Day5の胚盤胞までの流れ
glossary-morula 図解

桑実胚で移植するケースはある?

現在の不妊治療では、胚盤胞まで培養してから移植する方法が主流です。しかし、すべての方が胚盤胞移植になるわけではありません。桑実胚の段階で移植を行うケースもあります。

  • 胚盤胞到達率が低い場合:過去の採卵で胚盤胞まで育たなかった経験がある場合、桑実胚での移植を提案されることがあります
  • 採卵数が少ない場合:得られた胚の数が少ないとき、培養を続けるリスクを避けて移植に進む判断をすることがあります
  • 医師の治療方針:培養環境よりも体内環境のほうが胚の発育に適していると判断されるケースもあります

桑実胚移植の妊娠率は、胚盤胞移植と比べるとやや低い傾向にあります。ただし、移植できる胚がある段階で子宮に戻すことには、培養途中で発育が止まるリスクを避けられるというメリットもあります。

桑実胚と胚盤胞の違い

構造の違い

桑実胚は細胞の塊がひとかたまりになった状態ですが、胚盤胞になると内部に空間(胞胚腔)ができ、細胞が2種類に分かれます。将来赤ちゃんになる「内部細胞塊(ICM)」と、胎盤になる「栄養外胚葉(TE)」です。

グレード評価の違い

桑実胚の段階では、コンパクションの状態を中心に評価されます。一方、胚盤胞ではGardner分類(例:4AA、3BBなど)で、胞胚腔の広がり・ICM・TEの3項目を評価します。桑実胚のグレードが明確に示されないクリニックもあるため、気になる場合は培養士や医師に確認してみてください。

まとめ

桑実胚は、受精卵が胚盤胞へと成長する途中の大切な段階です。治療の中で「桑実胚で凍結しました」「桑実胚移植を検討しましょう」と言われると不安に感じるかもしれませんが、桑実胚まで育っていること自体が、胚に発育力がある証拠です。治療の選択肢として提示されたときは、医師と相談しながら自分に合った方針を一緒に考えていきましょう。