SEET法(子宮内膜刺激胚移植法)とは?
SEET法は、胚盤胞移植の2〜3日前に、胚の培養液を子宮内に注入する方法です。正式には「Stimulation of Endometrium Embryo Transfer」の頭文字をとってSEET法と呼ばれています。
自然妊娠では、受精卵が卵管を通過する間に分泌する物質が子宮内膜に届き、着床の準備を促すと考えられています。しかし凍結胚移植では、胚が子宮に入るまで子宮内膜への刺激がありません。SEET法はこの「シグナルの不在」を補い、着床環境を整えることを目的としています。
SEET法の仕組み
SEET法の流れは以下のとおりです。
- 胚盤胞の培養液を保存:体外受精で胚を胚盤胞まで培養する過程で、胚が分泌した物質を含む培養液(上清液)を凍結保存します
- 移植の2〜3日前に注入:凍結胚移植の周期で、移植予定日の2〜3日前にこの培養液を融解し、カテーテルで子宮内に注入します
- 胚盤胞を移植:培養液注入から数日後、通常どおり凍結融解胚盤胞を移植します
注入する培養液にはごく少量の液体しか含まれないため、処置自体は数分で終わり、痛みもほとんどありません。

SEET法と二段階移植の違い
SEET法と混同されやすい方法に「二段階移植」があります。どちらも着床環境を整える目的がありますが、仕組みが異なります。
二段階移植とは
二段階移植では、まず初期胚(Day 2〜3の受精卵)を移植し、その2〜3日後に胚盤胞を移植します。初期胚が子宮内膜に直接シグナルを送ることで着床環境を整え、後から移植する胚盤胞の着床率を高めることを狙います。
主な違い
- SEET法:培養液を注入するため、移植する胚は胚盤胞1個のみ。多胎のリスクが増えません
- 二段階移植:初期胚と胚盤胞の計2個を移植するため、双胎(ふたご)になる可能性があります
- 胚の消費数:SEET法は胚1個+培養液、二段階移植は胚2個が必要です
貴重な胚を節約しつつ着床環境を整えたいという場合に、SEET法が選ばれるケースが多いです。

SEET法が検討される主なケース
- 良好な胚盤胞を移植しても着床しない(反復着床不全)場合
- 凍結胚の数が限られており、二段階移植で2個使うことが難しい場合
- 多胎妊娠のリスクを避けたい場合
先進医療としての扱い
SEET法は、保険診療の体外受精と併用できる「先進医療」として認められています。胚移植の保険診療に上乗せする形で利用でき、SEET法の費用部分のみ自費負担となります。費用はクリニックによって異なりますが、おおむね3万〜5万円程度が目安です。
先進医療として実施できるクリニックは限られているため、関心がある場合は事前に確認しておくと安心です。
まとめ
SEET法は、培養液を使って子宮内膜の着床準備を促す方法です。胚を2個使う二段階移植と異なり、移植は1個で済むため多胎リスクを抑えられるのが特徴です。反復着床不全で悩んでいる方にとって、選択肢の一つとして検討する価値があります。主治医と相談しながら、自分の状況に合った方法を選んでいきましょう。
